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台湾で信頼できる設計会社・施工会社を見極める!失敗しないパートナーの選び方

台湾での開業を成功させるために最も重要な要素は、「誰と組むのか」です。

見積の安さやスピード感だけで判断すると、施工品質のばらつきや追加費用など、思わぬトラブルに発展することも。

長年日台の現場を見てきた立場から、台湾の内装設計会社・内装工事会社を選ぶ際の実践的なノウハウを提案します。

第1章 「安い」「早い」だけでは危険!台湾で信頼できる設計会社を見抜く視点

台湾で店舗出店計画を進めるとき、まず最初に多くの企業が悩むのが「どの設計会社に依頼するか」という点です。

ネットで検索すれば、日系企業対応をうたう設計事務所から地元密着型のデザインスタジオまで、数えきれないほどの選択肢が出てきます。

そして、多くの日本企業が最初に比較するのが「見積金額」と「納期」です。

確かに、コストとスピードは重要です。

しかし、台湾では“安さ”や“早さ”を重視するあまり、後で修正費用が膨らんだり品質トラブルに発展したりするケースが後を絶ちません。

見積書やプレゼン資料だけでは読み取れない「設計会社の本当の力量」を知ることで、無駄な出費やストレスを避け、スムーズな出店プロジェクトを実現することができます。


安い会社が悪いとは限らないが、「安さの理由」を必ず聞く

台湾の設計会社の見積価格は、会社ごとに驚くほど差があります。

同じ条件で3社に見積を依頼しても、最安と最高で2倍以上の開きが出ることも珍しくありません。

ここで大切なのは、金額そのものではなく

  • 「なぜ安いのか」
  • 「何が含まれていないのか」

を理解することです。

台湾では、「デザイン費」と「施工監理費」を明示して請求しない会社も多く、図面を納品したら現場には関与しないというケースもあります。

そのため、施工段階で仕様変更が発生しても設計側がチェックせず、結果的に仕上がりが想定と大きくずれることがあります。

安い見積の裏には、こうした“抜け落ちている工程”が潜んでいることが多いのです。

信頼できる設計会社は、見積書に工事明細と金額が細かく丁寧に整理されて記述されていて、その見積書を見るだけで「この範囲まで弊社が対応します」とわかるようになっています。

その代わり、その範囲のリスクを設計施工会社が請け負っているため、そのリスクに対して責任を持つのか持たないのかがわからない見積書の会社よりは金額が高くなります。

見積書の金額が安くても、説明が曖昧だったり「全部できますよ」と軽く答える会社ほど、注意が必要です。


「誰が設計しているのか」を確認する重要性

台湾の設計会社では、代表者がコンセプトだけ提案し、実際の設計は若手スタッフや外注デザイナーが担当するケースもあります。

特に規模の大きい事務所ほど案件を多く抱えているため、プロジェクトによって担当者の力量に差が出やすいのです。

このため、初回打ち合わせの段階で、

  • 「誰が実際の設計を担当するのか」
  • 「現場打合せに来るのは誰か」

を必ず確認することが大切です。

担当者が定期的に現場に足を運ぶ体制を持っている会社は、クライアントの意図を正しく反映しやすく、後工程での誤解や再施工のリスクが減ります。

また、台湾では「プロジェクトマネージャー(PM)」という役職名があっても、実際には営業担当が兼任している場合もあります。

そのため、「図面を描く人」と「現場で説明する人」が違うという構造になりやすく、情報伝達の齟齬が起こりやすいのです。

この点も、契約前にしっかり確認しておくと後悔が少なくなります。


提案資料やCGパースの“完成度”に見るプロ意識

台湾の設計会社は、スピード感を重視する傾向があり、初回提案でもCGパースや素材ボードを短期間で用意してることもあります。

そのクオリティを見れば、会社の「設計姿勢」が如実に現れます。

  • CGの光の設定や影の処理、家具のスケール感が丁寧に作り込まれているかどうか?
  • 素材サンプルが実際の台湾市場で入手可能なものかどうか?

これらを見れば、「ただ見た目を良くするための資料」なのか、「実際の施工を見据えた提案」なのかが一目でわかります。

信頼できる会社ほど、パースに現実味があります。

図面を描く段階から施工を想定しているため、デザインと実際の施工の乖離が少ないのです。

反対に、CGが豪華すぎる場合は注意が必要です。

実際には高価すぎて採用できない素材や、台湾では施工困難な仕様を盛り込んでいることがあります。

また、正確なCGパースを作るには、手間と時間がかかります。

短期間で無料で提案してくる設計会社は、「あなただけのための提案」ではなくて、その図面をすでに何回か使い回している可能性もあります。

正直な会社は、詳細な事前インタビューを行ない、その後に設計図を書いて、CGパースを描くため、無料での提案はあまりしませんし、提案までの日数もかかります。


コミュニケーションの早さは、現場対応力のバロメーター

台湾の設計会社を選ぶ際、見落とされがちなのがレスポンスの速さです。

台湾では、メールよりもLINEやWeChatなどのチャットで連絡を取るケースが多く、情報共有のスピードがプロジェクトの命運を左右します。

信頼できる会社は、質問に対して即日、もしくは翌日には明確な返答をくれます。

反対に、回答が3日、4日と遅れる会社は、現場対応でもトラブルが発生しやすい傾向があります。

特に、設計変更や見積調整が重なる時期にレスポンスが遅いと、工期遅延や追加費用の発生につながります。

また、返信の速さだけでなく、内容の「正確さ」も重要です。

単なる「了解しました」ではなく、「この部分は〇〇日までに修正します」「現場で確認後に改めて連絡します」といった具体的な返答があるかどうかを確認しましょう。

この誠実な対応力こそ、台湾現場で最も信頼できるサインの一つです。


日本企業との取引経験がある会社の“強みと限界”

最後に、多くの企業が重視する「日系案件の実績」についてです。

 確かに、日本企業との取引経験がある台湾設計会社は、図面の精度や報告の丁寧さ、書類管理などの面で理解が早く、やり取りがスムーズです。

しかし、それが「完全に日本式で動ける」という意味ではありません。

経験豊富な会社でも、その会社は台湾社会の中で商売をしているので台湾の商習慣に基づいて判断をしています。

日系企業のやり方を理解しているので、なるべく日系企業のやり方に合わせて台湾社会とつなぐ形で仕事をしているだけで、その設計会社がいつも取引している台湾企業とは台湾の商習慣でやっています。

たとえば、日本ではありえない「口頭での仕様変更」「現場での即決」、これは台湾では日常的に行われていることです。

ここを否定すると、例え日系企業の経験豊富な会社でも仕事になりません。

日系案件に慣れた会社ほど「日本側の要望を理解している」と思い込みがちですが、その会社も台湾企業同士になると台湾の商習慣で動きます。

海外の日系企業同士の取引は日本の商習慣となることを考えれば、わかりやすいでしょう。

大切なのは、過去の実績よりも“今の担当者がどこまで日台の違いを理解しているか”です。

その人が日系案件を実際に担当した経験があるか、単に会社として過去に関わっただけなのかを確認することで、ミスコミュニケーションのリスクを減らせます。


第2章 台湾の内装工事会社を選ぶ際の“現場対応力”をどう評価するか

設計がいくら優れていても、実際の施工が伴わなければ理想の店舗は完成しません。

台湾の内装工事会社は、柔軟性とスピード感に優れる一方で、現場での判断が大きく結果を左右する文化があります。

つまり、図面通りに正確に仕上げる日本的な施工とは異なり、台湾では「現場でどう対応するか」が品質を決定づけるのです。

日本企業が台湾で内装工事会社を選ぶとき、カギになるのがこの“現場対応力”です。

図面の理解力、監督の統率力、職人の技術力、そして何よりもコミュニケーション能力。

これらをどう見抜くかで、完成後の満足度がまったく変わってきます。


現場監督が常駐するかどうかで品質が決まる

台湾では、日本のように「現場監督(現場管理者)」という職種が確立していない会社も多く存在します。

小規模な施工会社では、営業担当が現場管理を兼ねていたり、工事職人が直接発注者とやり取りしたりするケースも珍しくありません。

このため、現場の判断が職人任せになり、細部の納まりや仕上げ精度にばらつきが出てしまうことがあります。

信頼できる会社は、現場に必ず専任の監督が常駐します。

この監督は、設計図面を理解し、施工手順・材料搬入・職人のスケジュールを全体的に把握している人物です。

彼(もしくは彼女)が現場に常にいるかどうかで、工事全体のクオリティが大きく変わります。

また、監督が頻繁に現場を離れるような会社は、トラブル時の対応が遅れる傾向があります。

現場で起きる不具合は、その日のうちに判断・修正できる体制が望ましいのです。

初回打ち合わせで「誰が現場を見てくれるのか」を具体的に確認しておきましょう。


職人の専門分業と「外注比率」のバランスを読む

台湾の内装業界では、ひとつの現場を複数の小規模業者が分担して進めることが一般的です。

電気、空調、木工、塗装、床仕上げなど、それぞれが独立した下請け会社として動いています。

このため、どの業者がどの範囲を担当するのか、その調整を適切に行える会社が信頼に値します。

外注比率が高すぎる会社は、品質の統一が難しく、現場の責任の所在が曖昧になります。

反対に、すべてを自社施工で完結する会社はコストが高くなる傾向があります。

理想的なのは、自社で管理を行いながら、専門性の高い部分だけを信頼できる外注業者に委託している会社です。

見積書の中に「分包項目」が記載されているか、または「各工種の協力業者一覧」を提示できるかを確認してみてください。

透明性の高い会社ほど、協力業者の名前や担当範囲を明確にしてくれます。

それが、現場管理の力量を測る一つの指標になります。


納期を守る会社の共通点は「資材管理」と「段取り」

台湾では、工期が短く設定されることが多く、資材の納品遅延が原因でスケジュールが崩れることがしばしば起こります。

とくに輸入品や特注品を使う場合、通関や配送の遅れが発生しやすく、日本側の感覚で工程を組むと大きなズレが生じます。

優れた内装工事会社は、このリスクを前提に工程を組み、資材手配を前倒しで管理しています。

資材倉庫を自社で持ち、納品前に検品を行う会社は信頼できます。

また、現場での段取りを重視し、「今日は何をどこまで進めるか」を毎朝明確に共有する文化を持つ会社は、結果的に納期を守ります。

日本企業が台湾の施工会社を選ぶときは、見積金額よりも「工程表の作り込み」と「資材管理体制」を重視してください。

これがしっかりしている会社は、工期遅延や品質トラブルが起こりにくい傾向にあります。


急な仕様変更に強い会社・弱い会社の違い

台湾では、現場での仕様変更が非常に多いです。

たとえば、オーナーが現場を見て「この壁を白に変えたい」「照明の位置をずらしてほしい」と言うことが日常茶飯事です。

このときに、柔軟かつ正確に対応できる会社が「現場対応力の高い会社」です。

優れた施工会社は、変更があった瞬間に、

  • 「どの部分に影響が出るか」
  • 「追加費用はいくらか」
  • 「スケジュールはどれくらい延びるか」

をその場で判断し、すぐに書面で修正を行います。

逆に、口頭で「大丈夫ですよ」と安請け合いしてしまう会社は危険です。

後日になって「やはり追加費用が必要でした」「納期が遅れます」といったトラブルにつながる可能性が高いからです。

変更指示への対応スピードと記録管理の徹底度が、その会社の成熟度を測る重要なポイントになります。


完成後の“引き渡し検査”で見える誠実さ

工事が完了して引き渡す段階で、その会社の本質が見えてきます。

引き渡し検査の際、細部まで照明・建具・仕上げ・清掃状態を自社で確認してから施主に見せる会社は、間違いなく信頼できます。

一方で、「早く引き渡して次の現場へ行きたい」という姿勢の会社は、手直し対応がずさんになりやすい傾向にあります。

また、検査時に「細かなキズ」「寸法の誤差」「塗装ムラ」などをどのように受け止めるかも重要です。

誠実な会社は、指摘を受けたときに言い訳をせず、すぐに是正策を提示します。

さらに、検査後にアフターフォロー表や手直し報告書を提出できる会社は、品質管理意識が非常に高いといえます。

日本では当たり前のことですが、台湾ではこの「検査文化」がまだ浸透していません。

だからこそ、そこに誠実さがある会社は、長期的に付き合う価値があります。


第3章 ポートフォリオと実績から“相性”を見極める方法

台湾で内装設計や店舗設計を依頼する際、最初に提示されるのが「ポートフォリオ(作品集)」です。

これには過去の施工実績、完成写真、CGパース、平面図、コンセプト説明などが掲載されており、一見すれば会社の実力がわかるように見えます。

しかし、写真だけを見て判断すると、思わぬギャップに後で気づくことがあります。

というのも、台湾のポートフォリオには「実際の完成写真」と「CGイメージ」が混在していることがよくあります。

さらに、どの部分を自社が担当したのかが明確でないケースも少なくありません。

つまり、外から見える“美しい写真”の裏に、その会社の真の実力が隠れているのです。


写真ではわからない「光」と「素材感」の違いを見る

台湾の施工実績写真は、照明の色温度や撮影技法によって、実際よりも華やかに見えることがあります。

特にLED照明が主流の台湾では、演色性(光が素材の色をどれだけ正確に見せるか)が低い照明を使用している場合も多く、写真上では美しく見えても、実際に現場で見ると質感が平板に感じられることがあります。

このため、信頼できる会社は、照明環境の説明を資料内で行っています。

「この店舗は3000Kの温白色を使用」「素材はメラミンボードのマット仕上げ」など、光と素材の関係を理解して設計しているかどうかを確認することが大切です。

もし可能であれば、実際にその会社が手がけた店舗を訪問し、写真と現場の印象を比較してみましょう。

“見た目”だけでなく“空気感”を体感することで、その会社の本当の力量がわかります。


施工案件の“規模の幅”からチーム力を推測する

ポートフォリオに掲載されている案件の規模にも注目してください。

個人経営のカフェやサロンなどの小規模案件しか掲載がない場合、その会社はデザインセンスに優れていても、大規模商業施設やチェーン店舗のようなスピードと調整力が求められる案件には慣れていない可能性があります。

逆に、百貨店やフランチャイズ案件が多い会社は、現場管理力や複数業者との調整スキルが高い傾向にあります。

ただし、大型案件ばかり手掛けている会社は、個店レベルの繊細な空間づくりが苦手なこともあります。

つまり、「大きい会社が良い」「小さい会社が悪い」という単純な話ではありません。

あなたの店舗の規模やブランド特性に近い案件を、どれだけ経験しているか。

それが“相性の良い会社”を見極める最初の基準になります。


実績に「飲食」「物販」「美容」などの偏りがないか

台湾の設計会社や施工会社には、それぞれ得意分野があります。

飲食店、物販店、美容サロン、オフィス、住宅──

これらをすべて同じ発想で設計できるわけではありません。

業態によって必要とされる設備知識・動線計画・法規対応がまったく異なるため、得意分野を理解しておくことは極めて重要です。

例えば、飲食店の設計に慣れている会社は、排気ダクトやグリーストラップなど設備の制約を前提に設計できます。

一方、物販系のデザインを得意とする会社は、什器配置や照明演出に長けています。

美容サロンを多く手がける会社は、照明と鏡面反射の扱いに非常に敏感です。

ポートフォリオに偏りがある場合は、「自社の業態と重なる部分があるか」を見極めること。

また、業種ごとの成功事例の説明が具体的かどうかも、その会社の経験値を測るポイントになります。


実際に完成店舗を訪問して“肌で感じる”審美眼を養う

最後におすすめしたいのが、完成店舗を実際に見に行くことです。

台湾の設計会社や施工会社は、依頼すれば過去案件を案内してくれることがあります。

その際、写真では気づかなかった「床の仕上がり」「建具の開閉精度」「照明の当たり方」「掃除のしやすさ」など、現場でしか感じられないディテールを確認することができます。

特に飲食店の場合、オープン後の劣化具合を見ることも大切です。

1年経っても美観が保たれているか、清掃がしやすい設計になっているか。

これらは、設計の段階でどれだけメンテナンス性を考慮していたかを示す重要な要素です。

また、店舗スタッフの反応も参考になります。

  • 「この設計会社さんは対応が早かった」
  • 「工事後もすぐに直してくれた」

など、現場で働く人の声にはリアルな情報が詰まっています。

写真集ではなく、“空間として生きている現場”を体感することで、本当に信頼できる会社を見極めることができます。


第4章 信頼できる台湾パートナーを見抜く5つの会話ポイント

台湾で設計会社や内装工事会社を選ぶ際、見積やポートフォリオだけではその会社の“本質”は見えてきません。

どんなに資料が立派でも、実際に話してみると「言葉を選ぶセンス」「質問の深さ」「提案の姿勢」によって印象が大きく変わります。

なぜなら、台湾の企業文化では“会話”そのものが信頼関係を築く第一歩であり、コミュニケーションの質がそのままプロジェクトの完成度に反映されるからです。

ここでは、打ち合わせや初回面談のときに気をつけるべき「会話の5つのポイント」を紹介します。

これらを意識するだけで、見積書には現れない“誠実さ”や“仕事の筋の良さ”を見抜けるようになります。


価格だけでなく「目的」や「ブランド」を聞いてくるか

信頼できる会社は、お客様のブランド価値を気にしています。

まずは、「何坪ぐらいの物件ですか?」「ご予算はおいくらですか?」「坪単価でどれくらいを考えてらっしゃいますか?」と尋られるでしょう。

この段階で、設計会社はどのくらいの工事ができるか、おおよその見当をつけます。

それから、「どんなお店を作りたいのか」「ターゲットは誰か」「ブランドの特徴は何か」など、お客様のやりたいことと、そのやりたいことに対して、その空間の目的と背景を丁寧に聞き出すことから始めます。

この質問がない会社は、コスト優先でしか考えていない可能性があります。

もちろん予算は重要で、その金額でできる限界を知らないと何も始まりませんが、お客様の目的や世界観を理解せずに金額だけで設計する姿勢では、ブランド価値を表現する空間を生み出すことはできません。

台湾では、短納期・低コストの案件が多いため、こうした“ヒアリングの深さ”がそのまま会社の成熟度を示します。

ブランドのストーリーに関心を示し、あなたの言葉を引き出す質問ができる設計者こそ、本当に信頼できるパートナーです。


専門用語をやさしく説明してくれるかどうか

設計・施工の会話の中には、専門用語が多く出てきます。

台湾では、中国語・台湾語・英語・日本語が混在した表現が使われるため、誤解が生じやすい場面もあります。

このときに、相手がどれだけ丁寧に説明してくれるかが大きな判断材料になります。

例えば、「防火材」「耐燃材」「防焰板」など、似た言葉でも意味が異なります。

それを分かりやすく図や写真を交えて説明できる会社は、現場経験が豊富でクライアントへの配慮を心得ています。

反対に、専門用語を連発したり、こちらの理解度を確認せずに説明を進める会社は要注意です。

そのような会社は、施工中にも「伝わったつもり」で進めてしまう傾向があり、後でトラブルになることがあります。

誠実な会社ほど、「今の説明、わかりにくくなかったですか?」と聞いてくれるものです。

この一言に、その会社の“人間力”が現れます。


「できません」と言える誠実さがあるか

日本企業が台湾の設計・施工会社と関わる際、最も誤解を生みやすいのが“できる・できない”の線引きです。

台湾のビジネス文化では、相手を立てるために断らない文化があります。

そのため、たとえ実現が難しい要求でも「OK!」「問題ないです!」と返してしまうことが多いのです。

しかし、信頼できる会社は、できないことははっきりと「できません」と言い、その代わりに代替案を出してくれます。

たとえば、「この材料は台湾では入手困難ですが、似た質感の〇〇を使えば近い印象になります」といった提案です。

“できません”の一言を恐れずに言える会社は、誠実であり、結果的にトラブルを防ぎます。

本当に危険なのは、最初に「できます」と言っておきながら、工事が進んでから「この仕様は無理です」と言い出すタイプの会社です。

会話の中で、リスクをどう説明するかを観察すると、会社の信頼度がはっきり見えてきます。


打ち合わせ中のメモ・図解の仕方にプロ意識が出る

会話の中で相手がどんなメモを取るかは、そのまま現場での仕事ぶりに直結します。

台湾の現場では、口頭でのやり取りが多く、記録を残さない会社も少なくありません。

だからこそ、打ち合わせの場で図を描きながら確認し、議事内容を整理してくれる会社は非常に信頼できます。

例えば、テーブル上にスケッチを描きながら、「この壁を10センチ動かすと導線がこう変わります」と説明する。

そのような会話ができる会社は、現場対応力が高く、誤解を未然に防ぐ力があります。

また、打ち合わせ後に要点をまとめた「ミーティングレポート」や「修正提案書」を翌日に送ってくれる会社は、プロジェクト全体を“共有財産”として扱う意識が強いといえます。

資料の整い方や図解の丁寧さを観察することは、品質を予測するうえで非常に効果的です。


見積提示の前に「現場調査」を提案してくる会社は信頼できる

最後の見極めポイントは、「現場を見ずに見積を出す会社かどうか」です。

台湾では、メールや図面データだけをもとに概算見積を提出する会社も少なくありません。

しかし、実際の現場を確認しないまま見積を出すと、工事中に予期せぬ追加費用が発生するリスクが高くなります。

信頼できる会社は、必ず現場調査を提案します。

それも単に寸法を測るだけではなく、天井高さ、配管ルート、既存設備の状態、搬入経路、騒音・湿度環境などを細かくチェックします。

この下調べを丁寧に行う会社は、トラブルを未然に防ぐプロフェッショナルです。

また、現場調査に同行すると、その会社のスタッフ同士の会話からも姿勢が見えます。

指示が明確で、職人が理解して動いているチームは、実際の施工でも連携がスムーズです。

逆に、上司が現場で指示を出してもスタッフが無反応だったり、場の空気が乱れている場合は、管理体制に不安が残ります。


第5章 契約後に後悔しない!長期的な関係を築くための選定基準

台湾での内装設計や施工の契約は、契約書を交わした瞬間がゴールではありません。

むしろそこからが、本当の意味での「関係構築のスタート」です。

多くの日本企業が台湾でのプロジェクトを進める中で、「契約は済んだのに思っていた対応と違う」「引き渡し後に連絡が途絶えた」といった声を聞きます。

こうした問題は、契約書の文言よりも、日常的なコミュニケーションの積み重ねに原因があることがほとんどです。

短期的な利益を追うのではなく、次の店舗・次の案件にもつながるような「長期的パートナーシップ」を築ける会社を見つけることが、台湾での出店を成功させる最大の鍵です。


契約書・進捗管理・アフター対応が一貫しているか

まず確認したいのは、その会社が契約から引き渡し、アフター対応までを一貫して管理しているかどうかです。

台湾では、契約担当・設計担当・現場担当・アフター担当がそれぞれ別会社というケースもあり、情報の引き継ぎが不十分なまま工事が進むことが少なくありません。

信頼できる会社は、プロジェクト全体を1つの流れとして捉え、責任の所在を明確にしています。

たとえば、契約書に「担当責任者名」「連絡手段」「アフター対応期間」などをきちんと明記してくれる会社は誠実です。

また、工事完了後に「メンテナンスチェック表」「保証書」を発行してくれるかも重要な判断ポイントになります。

一貫した体制を持つ会社は、問題が起きた際にも迅速に対応できます。

契約段階で「誰が最後まで責任を持つのか」を確認し、その担当者が実際にプロジェクトをリードしてくれる体制が理想です。


問題発生時の「報告・相談・提案」のスピード

プロジェクトがどれほど順調に進んでいても、現場では必ず想定外の問題が起こります。

たとえば、輸入材の納期遅延、現場の寸法誤差、天候による工程変更など。

このとき、いかに早く・正確に報告し、代替案を出せるかが、信頼関係を左右します。

信頼できる会社は、問題が起きた時点でただ「報告」するだけではなく、「原因・影響・対策・スケジュールへの影響」を整理した上で提案してくれます。

一方で、連絡が遅れたり、報告が曖昧なまま進めてしまう会社は、後になって大きな損失を生むことがあります。

実際の打ち合わせの中でも、「もし問題が起きた場合、どのように共有・判断しますか?」と質問してみましょう。

その答えの中に、会社の“危機管理力”が見えてきます。

スピードと誠実さを兼ね備えた報告体制を持つ会社は、長期的に見ても信頼できます。


納品後も現場を訪れる“フォロー文化”があるか

台湾では、工事が終わった後に現場へ足を運ぶ会社は多くありません。

「引き渡し=完了」と捉える文化が強く、アフターフォローの習慣が日本ほど根付いていないためです。

しかし、本当に信頼できる会社は、納品後も自ら現場を訪れ、使用状況や経年変化をチェックします。

この姿勢こそ、次の案件へとつながる最大の要素です。

施工後の経過を自分たちの“経験データ”として蓄積している会社は、品質向上への意識が高いといえます。

逆に、工事が終わった途端に連絡が途絶える会社は、長期的な関係構築には不向きです。

「引き渡し後に1カ月点検や3カ月点検がありますか?」と聞いてみると、その会社のアフター文化の有無がすぐにわかります。

丁寧な会社ほど、点検日程や保証範囲を明確にスケジュール化してくれるものです。


担当者個人ではなく“チーム”で動いているか

台湾の多くの会社では、担当者の力量に業務の質が大きく左右されます。

つまり、担当者が優秀であればスムーズに進みますが、交代した瞬間にトラブルが起きるというケースも珍しくありません。

これを避けるためには、チームとして動ける会社を選ぶことが大切です。

信頼できる会社では、営業・設計・施工管理・経理・アフターが密に情報共有しています。

ミーティング記録や進捗報告が社内で共有され、担当者が変わってもプロジェクトが止まらない体制が整っています。

また、チーム内でお互いを尊重し、明るい雰囲気で打ち合わせを行う会社は、現場でもトラブル対応が円滑です。

逆に、打ち合わせの中でスタッフ同士の連携が取れていない会社は要注意です。

社内連携が弱い会社ほど、問題発生時に「誰が対応するのか」が曖昧になりやすく、最終的にクライアントが負担を背負うことになります。


一度の成功で終わらせず、“次回も任せたい”と思える対応

最後に、台湾でのパートナー選びにおいて最も重要なのは、「次もお願いしたい」と思える関係性を築けるかどうかです。

これは単に施工が上手いとか、デザインが良いという話ではありません。

誠実な対応、柔軟な提案、トラブル時の冷静な判断――

こうした日々の積み重ねが、信頼を生むのです。

長期的な視点を持つ会社は、次の案件のために今の案件を丁寧に仕上げます。

彼らにとっての“評価”は、完成写真ではなく、クライアントの満足度です。

だからこそ、細部の仕上げや清掃、書類整理まで一切妥協しません。

また、最終打ち合わせで「次回の改善点」や「今後の展開」を話してくれる会社は、本当に信頼できます。

彼らは単なる請負業者ではなくビジネスパートナーとしての意識を持っているのです。

「仕事を終わらせる会社」ではなく「関係を育てる会社」を選ぶ――

これが台湾で成功するための最終基準です。


まとめ:信頼は契約書ではなく、誠実な“対応力”から生まれる

台湾で店舗設計や内装工事を依頼する際、最も難しいのは「どの会社に任せるか」という選定です。

安い見積、魅力的なCGパース、華やかな実績写真──。

表面的な情報はいくらでも並べることができますが、実際に現場を動かすのは“人”の力です。

これまで多くの日台協業現場を見てきた経験から、「うまくいく会社」と「トラブルになる会社」を分けるポイントを5つの章で整理してきました。

ここであらためて、その核心を振り返ります。


安さやスピードより「誠実な説明」が信頼の証

台湾の設計会社を選ぶ際に重要なのは、価格の安さや納期の早さではなく、

  • 「なぜこの金額なのか」
  • 「どこまで対応するのか」

を丁寧に説明してくれる姿勢です。

見積の透明性、担当者の顔が見える体制、そして“できません”と正直に言える勇気。

これらが信頼の第一歩になります。


“現場対応力”が品質のすべてを決める

台湾の工事現場は、日々の判断が成果を左右します。

  • 現場監督が常駐しているか?
  • 各工種の連携が取れているか?
  • 問題発生時の報告が早いか?

これらを見れば、その会社のプロ意識が見えてきます。

最初から「現場を誰が管理するか」を明確にしておくことが失敗を防ぐ最良の予防策です。


ポートフォリオの“写真の裏側”を読む

美しい完成写真は、その会社の広告です。

しかし本当に見るべきは、案件の規模・業態・予算・納期といった「プロジェクトの背景」です。

あなたのブランドと似たタイプの案件を多く手掛けている会社は、価値観の共有がしやすく、トラブルも少なくなります。

完成店舗を実際に見学することも、最も確実な選定方法です。


会話の中に“誠実さ”は現れる

初回面談や打ち合わせのときに、相手がどんな質問をしてくるか。

そこに、その会社の姿勢がすべて現れます。

  • 「目的」や「ブランド」を丁寧に聞いてくれるか?
  • 難しい用語をやさしく説明してくれるか?
  • 現場調査を提案してくれるか?

これらの会話の積み重ねこそが、信頼関係の土台です。


契約後の“対応スピードと継続性”が真価を決める

プロジェクトが本当に試されるのは、契約を交わした後です。

  • トラブル発生時にどれだけ早く報告・提案できるか?
  • 完成後も現場を訪れて点検する文化があるか?
  • 担当者任せではなくチームで動いているか?

これらを満たす会社こそが「次もお願いしたい」と思える真のパートナーです。


台湾の現場で築く“人と人の信頼”

台湾での店舗出店やオフィス改装は、単なる設計・施工の取引ではありません。

文化も商習慣も異なる中で、お互いの価値観を理解しながら協力していく“共創”のプロセスです。

その中で最も大切なのは、契約書の厚さでも、価格交渉の巧みさでもなく、相手の誠意を見抜き、自分も誠意で応える姿勢です。

私たち日本人が大切にしてきた「約束を守る」「丁寧に仕上げる」「最後まで責任を持つ」という価値観は、台湾でも確実に共感を呼びます。

ただ、それを伝えるには時間と信頼の積み重ねが必要です。


「共に育つ」関係が、最強の選定基準になる

最終的に、会社選びの基準とは“この相手と一緒に成長できるか”に尽きます。

台湾で信頼できる設計会社・施工会社は、単なる受注先ではなく、日本企業の理念やブランドの想いを台湾の土壌で“形”にしてくれる共創パートナーです。

もし、初回の打ち合わせの段階で「この人たちとなら長く付き合えそうだ」と感じたら、それは最も正確な直感です。

人と人との信頼が生まれた瞬間、プロジェクトはすでに半分成功しています。


おわりに

台湾で成功する店舗出店とは、*安く・早く」ではなく、「信頼を積み重ねながら、美しく・長く続く空間を作ること」です。

設計会社や内装工事会社の選定は、その第一歩であり、未来の事業の土台づくりでもあります。

この記事が、皆さまが自信を持って台湾の現地企業に発注し、そして日台の間に真の信頼関係を築くためのヒントになれば幸いです。

日本企業の誠実さと、台湾企業の柔軟さが出会ったとき、そこにはきっと、新しい空間づくりの未来が生まれます。


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